大和秀嗣の歌謡クロニクル
年末長時間スペシャル
山口百恵デビュー30周年記念番組
〜山口百恵の8年間〜
「百恵回帰」番組載録
うさみかつみさん インタビュー
1<百恵担当〜「新しい地図」>
う・・・うさみかつみ さん 大・・・大和秀嗣
M ♪・・ON AIRした曲です BG・・MC中にBGMで流した曲です
<百恵担当〜「新しい地図」>
BG 「めまいの季節」
大 さて皆様大変お待たせいたしました、ここからは百恵ちゃんのアルバム「百恵の季節」から
「This is my trial」まで作品を書いて頂いております・・頂いておりますって私が山口百恵じゃないんですが(笑)、
書いて頂きました作詞家のうさみかつみさんの電話インタビューをこれからお送りします。
生出演して下さるというとっても温かい対応を頂きました。本当にありがとうございます。
それではうさみさんを呼んでみたいと思いますが繋がっておりますでしょうか・・「うさみさん!」
う はいこんにちは。
大 どうもこんにちは大和です、お久しぶりでした。
う お久しぶりです、どうも。
大 あの私今年のゴールデン・ウィークにうさみさんのお店の方にお邪魔しまして、
長い間お話を伺いまして、その節は本当にありがとうございました。
う こちらこそありがとうございました。
大 大変お世話になりました。
う いえ。
大 皆さん聞いて下さいね、営業時間が終わったのに「まだまだいいよ、全然気にしないで」って言いながら、
ずぅーっと百恵ちゃんの話をして頂いたんですよ。
百恵ちゃんとうさみさんのプライヴェートな写真とか、スタッフとうさみさんが行かれた旅行の写真とかを見せて頂いたりとか・・
本当に温かくして頂きまして、その時に百恵ちゃんの作品についていろいろお話を伺ったんで、是非それを今日ラジオを聴いて
下さっている皆さんに、うさみさんの方からまたお話頂ければと思いまして今日はお願いしました。
う はいわかりました。
大 それで今回うさみさんと当時とても仲の良かったという川瀬さんもわざわざ横浜からいらしておりまして、
後ほどこのスタジオにお呼びする予定になっておりますので、是非宜しくお願い致します。
う こちらこそ宜しくお願い致します。
大 うさみさんが百恵さんの担当になったきっかけというのはどういう所からだったんでしょうか?
う 私は二十歳ぐらいからレコードの作詞家としての仕事を頂いて、たしか23くらいだったと思いますが百恵さんのプロデューサーの
酒井さんという方が、僕が作詞家としてデビューするほとんどきっかけみたいな形で、当時CBS・ソニーレコードという所に詞を持ち込みに
・・持ち込みって言うのは書いたものを見て下さいという風に頼んだところですね、どういう訳か「書いてみないか」という事で・・。
ピーターのシングル「別れたのは霧の街」それがCBS・ソニーで最初の仕事なんです。
それで仕事をしながら酒井さんにいろいろですね業界の事とか教わって・・
それで2,3年経ってそろそろ百恵さんのも書いてみないかという事で書いたのがいきさつですね。
大 百恵さんの前には西城秀樹さん、フォーリーブスとか・・アイドルにも書いておりますし、後には
内藤やす子さんにも書いていらっしゃいますよね。
あと僕が思い出深いのはクリケッツの「私のベイビーボーイ」なんですが、ちびっ子達のグループですよね・・あれは大ヒットしましたよね。
う まぁそうですね・・あれはヒット賞を頂いたんですけれども、フィンガー5のその後の流れで出たような、
あの当時そういうグループが何組か出て・・
大 あと他の作品で凄いのは、スリー・ディグリーズの「天使のささやき」の日本語盤を書いていらっしゃるんですよね。
う そうですね。
大 それからスタイリスティックスの「誓い」これも日本語ヴァージョンをうさみさんが書かれていらっしゃるんですよね。
う あとはダイアナ・ロスとマーヴィン・ゲイの「You Are Everything」ですか・・
大 え〜「You Are Everything」もですか!
大 百恵ちゃんの一番最初に手がけた作品は『百恵の季節』の中の
「めまいの季節」「陽のあたるアパート」「お元気ですか」3曲でしたが、
「お元気ですか」はよく地方公演で歌われていまして、
この間伺った時にそれを聴いて頂いたと思いますけど・・
う ええ、びっくりしました。
大 例えば札幌だったら「札幌のみなさん、お元気ですか?」といって
オープニングに使われ始まるんですよね・・
う 僕はあなたからその話伺って初めて知ったことで・・ただ当時彼女がすごく気に入って
くれてたというのはちょっと聞いていたんですが、
そういう使われ方までして頂いたっていうのは今年になって初めて聞いた事でびっくりしました。
大 この頃の作品の中では「お元気ですか」は人気のある曲で、詞がとても素朴な詞ですけれども・・
う そうです、すごくシンプルな・・
大 この頃は例えばどういったイメージで詞を書いていたのでしょうか・・百恵さんに対して。
う 割と僕の見る彼女っていうのはそんなに色のついてない・・方やシングルなんかで結構ドキドキする様な
ちょっとびっくりする様な刺激的な部分があって、僕自身はもう少しシンプルに削ぎ落として、
ピュアな部分を素朴に書きたいなと。
「お元気ですか」はですね、フレーズ的にそんなに行数のあるものではないんで、
あんまり凝らないで思いつくシチュエーションと心情をストレートに書きたいなっていう感じだったと思います。
大 この頃は曲先行が多かったのですか?
う もちろんそうですね、ほとんどあの当時90%はメロディが先に上がりまして、僕等作詞家は
後付けって言うんですけれどもそれに対しての言葉を書いて、という作業でしたので。
大 この「百恵の季節」の頃は大ブレイク直前という感じでありましたけれども、
作品の発注というのは割りとゆっくり書く事が出来る時間を貰うのですか?
う いや出来ません・・。川瀬さんもいらしゃるから知っているかと思いますが、
プロデューサーもディレクターも他の事も抱えてるすごい売れてる方々ばっかりで、皆さん超一流だったので
とにかく「ケツカッチン」みたいなもう夜中までレコーディングだミックスだという状態でしたので、
私に来た時には「あと3日ね」とかそんなのはザラで、一週間くれたらもう「わぁーっ」っていう感じで・・。
僕もたまたま仕事が当時は少し多かったので、結構プレッシャーの中で追い込んで書いた記憶がありますから。
この曲に関しては作曲家が鈴木邦彦さんなんですが、その方の事務所に私も所属してましたんで、
「僕が書くならいいだろう」って事でぎりぎりしか曲を上げてくれないんですよ。
大 ああなるほど(笑)。
う ですから作曲家の方も締切を貰っても「作詞家だれ?」「うさみ」だということになると、
「あいつならまぁいいわ」という事で出来て「はい」っていう感じで、2日、3日がせいぜいで・・
そういう記憶がありますね。
大 うさみさんの所へこの間お邪魔して伺った時に、割と短い期間の方がこう・・集中して書けて、
テンションが上がっていいというお話をなさってましたね。
う というか、追い込み方にもよるんですけど。所詮僕等はですね、僕の場合ですよ、
例えば1ヶ月前に仕事を依頼されようと、それが3日前だろうと最終的に書くのは前日の夜中、明け方なんです。
大 ああ、そういうものですか・・。
う つまりそこまでは自分の中である程度気にはかけて、四六時中「さぁどうしよう、こうしよう・・」という作業は
頭の中でしてますよね。でも実際に最後に練り上げて言葉をメロディに合わせてゆく作業っていうのは
最後のギリギリの所まで追い込まないと・・まぁ僕の性格もあるのでしょうが・・。
そういう部分でホントに綱渡りの生活・・。
大 そうですか・・。
う 本当にある時なんか5曲くらい「これ明日までに、LPで」みたいな事も他のアーティストでやらされたっていうか
やったっていうか、そういう事も憶えてます。
大 まぁでもカーっと集中して出来上がる所がいい所なのかもしれないですよね。
う そうですね、まぁいいかどうか別にして本質的な性格としてそういう風に追い込まないと駄目みたいですね、
だから人間が柔なんですよ結局は・・。
大 僕も追い込まないとダメみたいな所あるので(笑)、気持ちはよく分りますけれども・・。
う 自己暗示もありますけどね・・
大 「百恵の季節」の後に今度は「16才のテーマ」に2曲、
「新しい地図」と「ともだちそれとも妹」とお書きになっておりますが、
「新しい地図」はファンの間では自分の新しい出発点に立ったり、岐路に立ったりすると
この曲を聴きたくなるという方が多いんですよね。
まぁ出発(たびだち)みたいなものがテーマだと思うんですけれども、
この曲はどういったイメージでお書きになったのでしょうか?
う 新たなスタートをリフレッシュするという事でそれを地図にあてはめて・・
これもやっぱり酒井さんとのミーティングでたぶんそういう風にしようと書いた様な
記憶があるんですが・・。
羽ばたきとかそういう物を、彼女なりの場合はどういうシチュエーションで表現するかという事が
ポイントだった様な気がします。
大 歌詞の冒頭が「海の見える小さな停車場が 一人歩きの始めです」という歌詞ですけれども、
海の見える停車場っていうのは想像した場所はありました?
う 全段にですね僕の中では東京に住んで書いてましたけど、湘南によく行ってたんですよ。
自分も家を借りて住んだこともありますし・・。そこで自分の中の心情をオーバーラップさせますと、
結局東京に出てちょっとしんどくて、海のそばで暮らした事も含めて
そういう物をオーバーラップした部分もあるかもしれないですね。
まぁ柔なロマンチズムと言えばそれまでですけども、
そういう綺麗で無の・・海って全部飲み込むくらいのスケールですよね、
そこからこう・・出てくみたいなロマンシズムがあった様な気がします。
大 それではまずその人気の高い「新しい地図」をお送りしたいのですけれども、
うさみさんもご一緒にお聴きいただけますか?じゃあうさみさんの方から御紹介頂けますか?
申し訳ありません突然に・・
う はい・・山口百恵さんの「新しい地図」です、どうぞ!
M 新しい地図
2<うさみさんと川瀬さん> に続く。