ゴールデン・ウィークスペシャル
大和秀嗣の歌謡クロニクル
川瀬泰雄さんSelection
百恵Album Number
<2004年5月5日放送「百恵回帰part2」>
2<風たちの午後>
阿木耀子 作詩 宇崎竜童 作曲 船山基紀 編曲
76 8/1 発売 9thアルバム「横須賀ストーリー」
大 さて「百恵回帰part2」横浜からお電話で川瀬さんと一緒にお送り致しております。
川瀬さん!
川 はい
大 続いてですね、川瀬さんに選んで頂いた曲をご紹介したいと思いますけれども、
76年の『横須賀ストーリー』のアルバムに収められました「風たちの午後」ですね。
このアルバムはA面すべて阿木耀子さん、宇崎竜童さんで作って頂いて、
川瀬さんが昨年末いらして頂いた時も「このA面は全部いいね!」っておっしゃって
ましたけれども。
川 ええ(笑)
大 その中でこの曲を選んで頂きましたので、まずは早速お届けさせて頂きたいと思います。
76年8月のアルバム『横須賀ストーリー』から「風たちの午後」。
M 風たちの午後
大 川瀬さん、お聴き頂いていたでしょうか?
川 はい。
大 懐かしいですか?
川 懐かしいですねぇ〜。
大 今日札幌はねとても快晴でいいお天気なんですけれども、横浜の方はどうでしょうか?
川 曇ってますね・・
大 曇ってますか!
川 どんよりと・・
大 じゃあちょっとこの曲には不似合いな感じですか・・
あの、「風たちの午後」というタイトル通り、マンドリンが使われた綺麗なアレンジですね。
川 船山基紀さんのアレンジですね。
大 この『横須賀ストーリー』のA面というのはやっぱり横須賀のイメージで作って頂いたのでしょうか?
川 いえ、そういう事ではないですね。あの当時ヒット曲があるとそれですぐアルバムを作るっていうSONYの体質があったんですけれど(笑)。
大 そうですねぇ〜(笑)あまりトータル感の無い・・
川 そういうのに僕は一人で反対してたんですよ。
大 アハハ・・わかります!
川 それで、何かトータルなイメージで作ろうよっていう事で・・もうその当時だといろいろ寄せ集めの曲でたくさん作っているような感じがあったと思うん
ですけれども、せめて阿木さん、宇崎さんで「横須賀ストーリー」があったんでね作ってもらおうという事でたくさん作ってもらったんです。
それでB面に関してはね、いろいろ例えば佐瀬さんだとか今からトライして行きたいなっていう人達にもいろいろお願いはしてるんですけども。
大 B面は確かに新しい曲は佐瀬さんが作ってますね。
(「愛の暮色」は当初『17才のテーマ』収録予定曲)
川 そうですよね・・。
大 なるほど、次へのステップ・アップという事でここで佐瀬さんが出てきているんですね。
川 僕達もトライしていろんな作家の人・・まぁ変な話ですけれども「テスト期間」じゃないですけど「どういう曲書くのかな・・」とか・・
「よかったらLPでまず使わせてもらいます」っていう事でトライして・・。
大 このA面に収められました阿木さん方の曲は「自転車の上の彼」とか「クラブサンドウィッチは
いかが?」とか・・
川 割合そんなにこう・・気張った作品じゃないですよね、シングルと違って。まぁシングルはかなりこう・・過激に企画、企画で行ってましたから・・
それでそうじゃない百恵の良さっていうか、阿木さん、宇崎さんの作品の中で例えば「風たちの午後」とかね「クラブサンドウィッチはいかが?」とか。
僕ねこのアルバム、当然タイトル曲の「横須賀ストーリー」とかすっごいインパクトあるんですけれど、「GAME IS OVER」とかはね。
でもそれ以外の・・「風たちの午後」に象徴されているような印象がするんですよ
この『横須賀ストーリー』のアルバムって。
大 ああ、なるほど・・
川 僕の中ではですけれどもね・・
大 あの・・割とどっちかっていうと等身大に近い「山口百恵」というイメージですか?
川 そう、すごい自然な・・でこの曲聴くと「ああ、そうだよな」っていう・・この当時こんなんだったよなってものすごい蘇ってくるんですよね。
大 ああ、そのときの百恵ちゃんの姿がこう・・目に浮かんでくるような感じですか?
川 そうですね・・
大 ああ、なるほど・・。
この曲ですね引退の頃百恵ちゃんが自分を振り返る番組の中で、この『横須賀ストーリー』の
アルバムからやっぱりこの曲を選んでかけているんですよね。
川 ああ、そうですか!
大 「日常の何気ないあたたかさを阿木さんはうまく出す人だ」と言ってこの曲を紹介しているんですけれども、
やっぱり百恵ちゃんもかなり気に入ってたんでしょうね。
川 そうでしょうね・・
大 あの、それまで一生懸命ある女性像に追いつかなきゃならないという部分と、こうやって自分の等身大で歌える曲っていうのは、
ホッとする部分があったのかもしれないですね百恵ちゃん自身がね。
川 他のがサスペンス・ドラマだとするとこれはホーム・ドラマっていう感じがします(笑)
大 そうですね(笑)。・・なるほど!
あのこの曲荒木由美子さんもカバーされてませんでしたか?
丁度この『横須賀ストーリー』に収められた作品とか前の『17才のテーマ』で歌われた作品なんかを・・荒木さん丁度川瀬さん担当でしたよね。
川 ええ・・そんな事ありました、ありました。
じゃあその頃から僕この曲好きだったんですね(笑)。
大 荒木さんは百恵さんをすごい尊敬なさってるそうですけれども・・
川 そうですね、荒木由美子さんって「さん」づけするの何か照れくさいのですけれど、「由美子、由美子」って未だに言っちゃってるんで、
人の奥さんなのに・・(笑)。
大 アハハ・・湯原さんの奥さんですね。
川 つい最近も電話で話したんですよ。何か彼女が本を出したんですよね。
大 もしかして「介護」の?
川 そうです。
大 最近よくTVでもよくお話なさってますよね・・。
川 旦那さんのお母さんの介護の大変だったっていう話とかを・・その本を送って来てくれたんで読んで感想を言ったりして・・
本当つい1週間くらい前の話だったんですけれど。
大 そうですか・・。荒木さんは当時百恵さんの作品を歌うことについては、どうだったんでしょうかね・・。
川 あのね・・彼女の中で「山口百恵」って一つしか年は違わないんですけど、もう・・何て言うんだろう、ホントに尊敬してましたよ。
担当が一緒だったというのもあるんですけど、荒木由美子の最初のレコーディングの時に百恵が遊びに来たんですよ、スタジオに。
大 はぁ〜そうですか!。
川 それでスタジオに顔出したら、緊張のあまり泣き出しちゃって・・「悪いけど百恵帰ってくれる?」みたいな(笑)。
大 (大爆笑)
川 「レコーディングにならないから」って(笑)。
大 あっ、そのぐらいですか・・。
川 そのぐらい緊張してましたよ最初。
大 いやぁそうでしょうね・・当時百恵ちゃんっていえばもう・・トップですからね・・。
川 そうですね、それで片方はド新人ですからねぇ、初めてのレコーディングですから・・
だからそこにはもう数年のギャップがある訳ですよね。
大 でも百恵ちゃんがやって来たっていう、その粋な計らいって言ったら何ですけれども・・。
川 皆スタッフがわりに仲が良かったんですよね。
大 年末の放送でもいろいろそのスタッフの仲の良さをお話頂きましたけれども。
川 僕達がレコーディングしているっていうんで、それで阿木さん、宇崎さんの作品だったし、
本人もどんな作品創るのかなぁっていうのも興味あったんだと思うんですけれども。
大 あ、なるほどね。
川 「同じスタッフ、同じディレクターが別の人担当すると、どんな事になるんだろう」っていう
興味もあったんだと思うんですよ。
大 たしかに荒木さんのデビューシングル「渚でクロス」とか僕的には「Lの悲劇」とか、
その辺は「Lの悲劇」なんか特になんですけれど、「百恵ちゃんが歌ったら・・歌って欲しかった」
なんていう作品も多くて、ファンの間でも結構荒木さんの作品は百恵ちゃんの匂いがするっていう話も多いのですけれども。
川 まぁするでしょうねぇ・・(笑)。
ただ阿木さんって詞に関してはかなりシビアな人なんでね、言葉を自分で創るじゃないですか。
そうすると僕達が「ここのとこ、こういう風に変えてよ」って簡単に変えてくれる時と、「いやこの言葉だけは絶対ダメ」ってこだわる時があるんですよ。
話は百恵から荒木由美子にそれちゃうんですけど、「Lの悲劇」の時も実はその曲が化粧品のCMになりそうだったんです。
化粧品メーカーもかなり大手のメーカーでね、てもタイトルだけ変えてくれって言われたんですよ、「Lの悲劇」っていうのはマズイって。
大 コマーシャル的に。
川 ええ、「絶対嫌だ」って結局CMにならなかったんですよ(笑)。
大 ならなかった!曲はOKだったのに?。
川 曲はOKだった(笑)。
大 それほど自分の詞に対して・・
川 そうです、阿木さんはこだわった時には、「もうこの言葉は神様に頂いた言葉だから、変えられません」って言われちゃったりするんですよ。
大 あの・・もう10年程前ですけど、川瀬さん達が集まってね、阿木さんもいらっしゃってNHKのBSスペシャルで「美・サイレント」の話しの時に
「あれはタイトルが自宅のTVの横をふっと横切った時に降ってきた」っておっしゃってて、「ああなるほど、神様から頂くときがあるんだな」って
僕はすごい感動したんですけれど・・そういう所があるんですね。
川・・・川瀬泰雄さん 大・・・大和秀嗣
M ♪・・ON AIRした曲です BG・・MC中にBGMで流した曲です