大和秀嗣の歌謡クロニクル 川瀬泰雄さんSelection
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M ♪・・ON AIRした曲です BG・・MC中にBGMで流した曲です
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大 続きましても、さださんと肩を並べるって言ってはおかしいんですが、 「秋桜」と同じく代表曲を書いて頂きました、谷村新司さんの曲を選んで頂きました。 78年の『ドラマチック』というアルバムにに収められました「ラスト・ソング」ですね。 こちらの方はお届けする前にお話を伺いたいのですが、 谷村さんも先程の77年のアルバム『GOLDEN FLIGHT』に初めて曲を提供して頂きまして、 その後何作か続いてこの曲に行きましたけれども。 谷村さんに楽曲をお願いするというアイデアは、 やはり川瀬さんの方から出てきたアイデアだったのでしょうか? 川 いやこれはどうだったんだろう・・これはもしかしたら酒井さんとか皆で話してて、 「谷村さんあたりもいいよね」っていう感じだったと思うんですよね。 大 あの・・どちらかというと百恵ちゃんの阿木さん、宇崎さんの世界とはちょっとこう・・ 全く180度違うというか・・そういう視点の曲が多かったですよね。 川 ええ違いますね・・ 大 「悲願花」「セーヌより愛をこめて」この『ドラマチック』に収められました 「サンタマリアの熱い風」とか、 ちょっと違った毛色の歌が続いて来て、この「ラスト・ソング」。 これはテレビでも歌われましたけども、新しいというか、 それまでに無かった百恵ちゃんの感じですね。 あのどちらかと言うと78年まぁ19歳のこれも等身大に近いんじゃないですか、 歌手「山口百恵」の。 川 そういう感じですね。この当時の百恵自身の・・ 割合谷村さんとは百恵本人が連絡取ったりしてたんで、谷村さんなりの、 まぁ阿木さんとは違った視点から百恵を見てくれていたと思うんですよね。 大 あの谷村さんは「山口百恵は天才だ、天才だ」と周りにおっしゃる程、 「山口百恵」をすごい正面から、まぁ愛してくれたっていう言い方も変ですけれども、 歌手として愛してくれていたみたいですけれども。 川 ええ 大 そういった思いが曲に凝縮されたような作品に僕は思えてならないんですけれども。 川 そうですね。 大 それではその「ラスト・ソング」を一緒にお聴き頂きたいと思います。 78年の8月『ドラマチック』に収められました、谷村新司さんの作詞、作曲、 萩田光雄さんのアレンジでお届けい致します「ラスト・ソング」。 ![]() 大 川瀬さん、これ百恵ちゃん後半はもう殆ど泣きながらお歌いになってますけれども。 川 ええ。 大 初めてこの曲を聴いた当時、レコードの中でね・・泣きながら歌うなんていうのは 僕すごいショッキングだったんです。 川 あの・・まぁはっきり言って、泣いていない所を使ったんですよ逆に言うと。 大 ・・・あっもっと泣いていたんですか? 川 これ実はね、僕と谷村さんとすごぐ揉めたんですよ、レコーディングの最中に。 レコーディングをしている時に、谷村さんが「もっと泣かせて下さい」っていう風に 言われたんですよね。 僕はステージで泣くのは一向に構わないけれども、「レコードの中で泣くのは嫌だ」 って言ったんです。それで・・谷村さんが「泣かせて下さい、お願いします」って そのスタジオ出て行っちゃったんですよ。 大 ・・・・・・ 川 それで僕が百恵にトークバックで「ちょっと待ってね!」と言って、 僕も追っかけて行ったんですよ谷村さんを。 大 へぇ・・ 川 それでスタジオのロビーで、多分3,40分話ししたと思うんです。 百恵をスタジオの中にに残したまま。 大 へぇ・・そんな事があったんですか・・うわぁ・・ 川 それで戻ってきて、百恵にはその僕と谷村さんのやり取りって何にも 聞こえていなかったんですよね。 それでとにかく僕がスタジオの中入っていったら・・まず最初の百恵の第一声が 「川瀬さんの言う事も、谷村さんの言う事もわかるんだよね・・」って 何にも聞いてなかったはずなのに・・言ったんですよ! それですっごい僕「この子頭良い子だなぁ!」と思って・・(笑)。 大 すごいな・・そうなんですか・・。 川 そう。何にも僕と谷村さんが、どっちがどういう意見で言い争ってるっていうのも 内容は聞こえていないはずなのに・・。 それで最終的に「中庸」って言うの変ですけれども、要するにちょっとこう・・泣いてる っていうか、泣いてる感じで・・。 もう泣いたやつは音程もメロメロになっちゃってたりするんで、僕そういうのを記録に 残すの嫌だったんですよ。 だからちゃんとして歌っているやつを、それで感情的に一番盛り上がっているやつを・・ っていうピックアップの仕方をしたんですよね。 大 じゃこれよりもっと泣いていたんですね。 川 そういうテイクもあるんです。 大 そうなんですか・・・ 川 それで・・その事を谷村さん凄い覚えてて、もう・・15年くらい経ってからかなぁ・・ 僕他のアーティストの曲を谷村さんにお願いした事があるんですよ、 新人の女の子だったんですけれど。 まぁどんな子だか「タレント見たい」って言うから、谷村さんのコンサート会場に 「コンサート見て後で楽屋に連れて行きますよ」って連れてって・・。 「この子の曲お願いしたいんですけれど」って言った時に谷村さんがそのタレントに、 「この人は、頑固な人なんだよ!」って(笑)・・ 大 (爆笑)・・ 川 第一声が!(笑) 大 そうですか!やっぱりその時の・・ 川 印象が強かったという・・きっと。 その後だって僕谷村さんと仕事してるんですよ、何回も(笑) 大 (爆笑)・・でもお二人の思いがこの作品にはすごい詰まってるんですね。 川 そうなんですね、だからって僕別にその・・揉めたからとか何とかって、 谷村さんには後にも他の曲お願いしたりなんかしてるくらいですから、 谷村さんが嫌いだとかそういう話じゃなくて、 大 ええ、もちろん。 川 谷村さんはすごい人だと思ってるし、それでこの曲もすごい好きな曲なんですよね。 うん。それだけに、すごいそういう思い出がいっぱい詰まってる・・ 僕の中にも詰まってる曲で・・。 大 はぁ・・いやぁーいいお話でした、本当にありがとうございました。 川 いえいえ。 |
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![]() 来生えつこ 作詩 来生たかお 作曲 萩田光雄 編曲 79 4/1 発売 17thアルバム「A Face in a Vision」 |
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![]() 大 さて続いて選曲頂いたのが、来生えつこさんとたかおさんのコンビによる 「おだやかな構図」ですね。 この作品はですね、えつこさんとたかおさんとしては初めてなんですよね、 コンビで書いて頂いたっていうのは。 川 ああ、そうですよね。 大 その前にえつこさんはえつこさんだけ、たかおさんはたかおさんだけでは書いて 頂いているんですけれども。 このすごい暖かい雰囲気、私も大好きな曲なんですけれども。 川瀬さんはこういった雰囲気の曲はやはりお好きなんでしょうか・・? 川 好きですね。あの・・やっぱりね、さっきの「風たちの午後」の時と同じ様に、 普段例えばシングルでこう・・過激に、過激にとかやってると、 こう・・ある対極の部分をすごい作りたいんですよね。 大 ああ・・逆な部分が 川 ええ、あの・・どっちかだけって言うのはバランス的にやっぱりおかしいですよ(笑) 大 そうですよね、それだけっていうのは(笑) 川 ビートルズだってロックン・ロールもあれば「イエスタデイ」もある訳ですから。 大 そうですよね、ただ僕ね今回川瀬さんから選曲頂いた時に、 割とそういうロック体質と言うか、ロック系の曲が並ぶんじゃないかなと 思っていたんですけれども、 川 ああ・・ 大 割と先程の「最后の頁」「ラスト・ソング」とかこの「おだやかな構図」が入ってたんでね、 ある意味で僕嬉しかったんですけれども(笑) 川 (笑)そうですか。 大 あの・・来生さんのメロディもホントに美しいですよね。 川 いいメロディですよね。 大 ええ、この他にもたくさん書いて頂いて、本当に美しいメロディ多いんですけれども・・ あのちょっと・・これ僕の勝手な想像なんですけれども、この頃川瀬さんご結婚ですか? 「おだやかな構図」の頃、79年なんですけれども。 川 ・・いやもう僕はそれより10年くらい前に結婚してます・・あの〜僕は72、3・・ えーとちょっと思い出せないな(笑) 大 お嬢様がたしか80年にお生まれになってるっておっしゃっていたので・・ 川 子供生まれたのは、結婚して10年後くらいだったんですよ。 大 ああ、そうなんですか。この「おだやかな構図」、もしかしたら ご自分を重ねているんじゃないかな(笑)と思ったんです。そういう事じゃないんですね(笑) 川 いや全然・・もう全然違いますね、それは(笑) 大 そういう事じゃないんですね・・すいません勝手な想像してしまいました。(笑) 川 (笑) 大 これ「A Face in a Vison」というNHK特集の「激写・篠山紀信」、 篠山さんのスチールだけで、写真だけで構成された番組用に制作された アルバムでしたけれども。このアルバムの中の1曲だった訳ですが、 このアルバムというのは篠山さんの写真からイメージして作って頂いた曲が 多いのでしょうか? 川 えーとね、そういう企画と同時進行で作っていったと思いますが、 たぶんその時点では写真は見てないと思います。 大 ああそうなんですか。 川 ええ。 大 ちょっとやっぱり写真のどこのイメージなのかなって・・ 川 むしろ篠山さんの方が、いろんな曲からこう・・写真を組み立てて行った所も あったんじゃないかな。 大 ああそうですか。でも本当に暖かくていい曲・・そういう事言っては申し訳ないのかも 知れないのですが、今の百恵さんと友和さんの構図というかね。そういう感じがしますね。 川 あの、作っている時に、全然そういう事は無かったんだけれども、 何か相手とか関係なしにね、「ああきっとこういう暖かい家庭っていうのも 百恵の中にあっても自然なんだろうな・・」みたいな、何かそういうイメージはありましたよね。 大 なるほどね。 川 まぁそれは来生さん姉弟のイメージだったとは思うのですが。 大 来生えつこさんとたかおさんを起用するにあたっては、 やっぱり川瀬さんのラインの所から発注ですか? 川 ええ、そうですね。というのは、僕「井上陽水」担当してましたよね。 その井上陽水が渋谷に「ジャンジャン」っていうライヴハウスがあったんですけれども、 最初は井上陽水はソロでギター1本で出てたんですね。 次に安田裕美さんっていうギタリストをお願いして、山崎ハコさんと最近御結婚なさった方 なんですけれども。その安田裕美さんと二人で演ってたんですが、 「ジャンジャン」の時に「ピアノか何か欲しいね」っていう話になって、 それでその時のキティ(レコード)の社長の多賀さんと話をしてて 「来生たかおっていう新人がいるんだ、ピアノが結構上手い奴でさ」って言うから 「じゃあ使ってみようよ」って、最初は陽水のピアニストとして来生くんを呼んだんですよ。 そうしたら本人もオリジナルいっぱい持ってて、キティからデビューさせるって話になってね、 それで聴いたらバラードでいい曲が多いんで、それこそ「ギルバート・オサリバン」みたいな メロディ書くし・・ 大 敬愛なさってますもんね。 川 「ああ、いいなあ・・」っていうその辺からの繋がりなんです。 それでそういう来生くんの世界って良く知ってて、 「あっ百恵にこういう暖かい世界もありだよな・・」 っていう所からお願いしたんだと思うんですよね。 大 ああ・・そうですか・・いやぁ〜嬉しいです、たかおさんに曲を書いて頂いたのは。 あの、たかおさんやえつこさんは、レコーディング・スタジオなんかにいらした事は あるんでしょうか? 川 ああどうだったんだろう・・・その辺の記憶はちょっと定かではないですね・・ 大 ないですか・・はい、わかりました(笑) 川 (笑) |