大  「愛に走って」の後「横須賀ストーリー」が来る訳ですけれども、丁度川瀬さん方が阿木さん達を
   候補に上げていたんですね、作家として。


川  そうですね、それでその時期にやっぱり山口百恵本人も宇崎さんの曲
    「涙のシークレット・ラヴ」かなんか聴いてて、
    それでこの人に書いて欲しいっていう、まぁタイミング的には殆ど同時に・・

大  同時にそういう発想が出てきた所だったんですね。

川  そうですね。

大  それでその次のアルバム「17才のテーマ」に宇崎竜童さんと阿木耀子さんに曲を依頼されたんですね・・

川  はい。

大  その中から1曲お届けしたいと思います。
    76年4月に発売されました「17才のテーマ」から「碧色の瞳」。



♪ 「碧色の瞳」



大  「碧色の瞳」阿木耀子さんと、宇崎竜童さんお作品でお届け致しました。

川  この曲なんかもかなり思い出あって、「バンドネオン」っていうタンゴで使う楽器だとか、ヴァイオリンも
    「コルネット・ヴァイオリン」って言って、ヴァイオリンの先に昔の蓄音機のラッパみたいな細いのが
    ついてるのがあるんですよ。それを使ってそういう古〜いタンゴっぽい感じを出してみようって言って・・・

大  懐かしき時代の感じの・・

川  そういうのすごい印象ありましたね・・

大  これはあの・・珍しい作品でしたね、それまでの百恵ちゃんになかった作品でしたね。

川  そうですね・・何となくそういう匂いを出したいなっていうのがあって、
    一生懸命「どういう風にしたらそういうの出るかな・・」って
    「アコーディオンじゃないよ、バンドネオンだよ」みたいな・・

大  その音の追求がね・・そこら辺は昔から音楽をこう・・模索してやっていた川瀬さんらしいですね・・

川  まぁ当然そのアレンジャーともそういう話をして「どういう楽器あるかな」って・・
    萩田さんと僕はそういうところやたらこだわってたんで(笑)・・

大  ハハハ・・だからこそ百恵ちゃんにこんないい作品がいっぱい出来たんだろうと思いますけれども。
    さて、この「17才のテーマ」で阿木さんと宇崎さんが初めて登場しますけれども、
    その辺のお話はCMの後お届けします。

     
                                  
BG「横須賀ストーリー」


大  さて、その「17才のテーマ」で阿木さんと宇崎さんに曲を書いてもらった百恵ちゃんの・・
    その中に最初収める予定だったというか、その為に作ってもらった1曲としてこの曲(横須賀ストーリー)が
    出来てたっていう事ですか?


川  そうですね・・というよりもしかすると、シングルも含めたお願いをしていたかもしれないですね。
  
大  ああそうですか!

川  アルバム用という事では無くて・・
    で、その中にいいのがあったら・・っていう意識はあったと思うんですよ。でたぶん4曲くらいお願いして、
    そしたらホントにこの曲が入っていたっていうか・・(笑)

大  はい・・(笑)

川  もう・・それでその時にその宇崎さんのデモ・テープを聴いた時に「すっごい、いいな」と思って
    まぁこれ同時に4曲レコーディングしてるんですよ、たぶん。はっきりは覚えてないんですけど。
    その中でずば抜けてこの曲がインパクトあったんですよ。
    ホントにインパクトあったていうのは、僕そんな事あんまりしなかったんですけど、このデモ・テープ1曲だけ
    「ちょっとコピーくれる」って別のテープにコピーもらって、たまたま昔のバンド仲間とその日の夜会う事
    になっていたんですよね。
    そこにわざわざカセット持っていって、「おまえ、これ聞いてくれ!めちゃくちゃカッコいいだろう!」
    って話して、それで聞かせた覚えあるんですよ。そしたらそいつらが、その頃まだアイドルって意識で
    山口百恵を見てたじゃないですか、で「アイドル=歌が下手」みたいな感覚で見てた時期なんですよね。
    それで「うわぁ〜カッコいいなこれ!」ってそいつらがみんな口そろえて言ったんですよ。

大  ああ・・そうですか〜

川  唯その時には次のシングルも予定決まっちゃってたんですよ、
    作家も決まっていたしこういう感じで行こうっていうのが。だから半年とって置いた形になっているんです。
    それで・・「ああ、やっと出せる」って他の作家に失礼だけど(笑)

大  (笑)・・でも丁度いい・・夏に向けてでしたから、丁度よかったですよね。
    あの浜田省吾さん、川瀬さんが担当なさってましたよね・・


川  ええ、初期は・・

大  浜田省吾さんのインタビューに川瀬さんの事をお話になっている所で、
    「横須賀ストーリー」のリズム・セクションを川瀬さんに聞かされて
    「すごいカッコいい曲だ」って言ってたのが載ってたのを今思い出したんですけれど。


川  浜田くん達にもそうやって・・このときは僕もう、ホントにカッコいいと思ってたんですよ!
    「これはいい曲だ!!」って思って・・だから何人かにそうやってリリースする前に聞かせてたような
    気がするんですよ。

大  なるほど〜

川  だから僕が創りたかった「山口百恵」の世界が、ここで「いや!出来た〜!!」
    みたいな感じが・・したんですよね・・。

大  そうですか・・百恵ちゃんが宇崎さんのデモ・テープと歌詞カードをもらって、
    どっか旅する時かな・・移動する列車の中でカセット・テープを聴いて、かけた途端
    「ああ、自分の歌だ!」って初めて思ったっていうふうにおっしゃってましたもんね。


川  ああ・・たぶんその辺の意識が百恵本人と僕なんかと割合近かったんだと思います。 

大  ああそうかもしれないですね、求めていた物というか、こう・・目指す物・・

川  やってみたいな〜って

大  なるほど・・はぁ〜・・この「横須賀ストーリー」を皮切りに、阿木耀子さん、宇崎竜童さんの作品が
    この後シングル続くわけですけれども。
    僕は正直言うと「横須賀ストーリー」が出た時はまだ小学校5年生で、
    あまりにもそれまでのイメージと違いすぎて聞いた事ない曲だ・・って
    もちろん新曲だから聞いた事ないんですけど(笑)、あの・・インパクト強すぎて初めレコード
    買えなかったんです、怖くて。


川  ああ・・

大  ・・・なんかこう・・ついてけないっていう所がどっかあったんです、怖くて買えなくて。
    しばらく経ってからすごいこの曲が
    好きになって、やっとね・・発売してもう「パールカラー」が出る頃買った記憶がありますね


川  ああ、そうですか。

大  ええ、初めはあまりにものインパクトの強さについていけない、わたくしでしたけれども・・
    この「横須賀ストーリー」をフューチャーしたアルバム、A面1枚を阿木さんと宇崎さんで作って
    頂いてますね。これがまたね・・・いい曲揃いなんですよ・・


川  そうですね・・これホントにいい曲が揃ってますよね・・

大  このアルバムにも収められました「GAME IS OVER」ですけれども、こちらの方は
    「横須賀ストーリー」が出来てからB面用に作られた曲ですか?


川  ・・というより、たぶんこのアルバム用の為にだと思うんですけれどもね・・

大  これ、船山基紀さんがアレンジしてますけれども。

川  釣り仲間なんですけどね・・

大  ああ、そうですか・・今でもですか

川  その当時「ブラックバス」釣り・・丁度ホントこういう時期だったんですけれども、今ほどブームになってない
    「ルアーフィッシング」っていうのに僕と船山さんとか何人かの仲間でのめり込んでいって、それで一緒に
    モーターボートの免許取りに行ったり、船山さんと一緒にこう・・やったりしてましたよね、その当時(笑)・・

大  ああ、そうなんですか・・

川  あの・・全然話変わるんですけど、もう僕の娘が23才・・丁度百恵の引退の時期に生まれたんですけど。

大  じゃ23ですね。

川  名前が「ルア」って言うんですよ。

大  ハハハ・・そっから取ったんですか?

川  はい(笑)。浄瑠璃の「瑠」にアジアの「亜」って書いて・・

大  へぇ〜そんなにお好きなんですか・・・

川  もう・・ものすごいマニアだったんですよね・・僕何でも自分が好きな物ってマニアになっちゃうんですけど

大  とことんやらないと気が済まない?

川  ・・で今だに娘に恨まれるっていうかね・・

大  でもそっから取ったっていうとちょっとあれですけど・・

川  そっから取ったの明らかですからね(笑)ごまかしようがないですから・・

大  でも響き的にはすごい綺麗な名前ですよね。

川  字面もね、綺麗なんですけど・・

大  へぇ・・いいじゃないですか「瑠亜ちゃん」・・ちゃんって失礼ですけど、
    まぁ一応僕の方が年上なんで・・失礼しました・・!


川  (笑)

大  さて「GAME IS OVER」、これすごい格好いいアレンジでしたよね。

川  ええ、これもう一つのマニアであるビートルズの「ALL MY LOVING」っていう曲があるんですけど
    それが「♪Close your  ジャカジャ ジャカジャ ジャカジャ・・」ってギターが6連っていうか、3連っていうか
    そういうカッティングしてるんですよ。
    「これ・・カッコいいよな」って言ってて、「じゃこの曲でちょっと使わしてもらおうか」って言ってアレンジを・・

大  そこから来たんですか・・はぁ〜

川  だからわかんない所にですけど、かなりビートルズのエッセンスっていうのは
    百恵の中に取り入れてるんですよね。

大  今日は覚えてる限りそれを披露して頂きたいと思いますけども(笑)

川  いやぁー覚えてないですけどね(笑)

大  それではその「ALL MY LOVING」をヒントにアレンジをなさったという「横須賀ストーリー」のB面にも 
    収められました「GAME IS OVER」



♪ 「GAME IS OVER」

BG「オレンジ・ブロッサム・ブルース」

大  さて、76年の12月のアルバム「パールカラーにゆれて」から
    「オレンジ・ブロッサム・ブルース」お届けしております。この曲はとってもステキな曲でしたね。


川  そうですね〜僕好きな曲ですね〜。

大  当時の「明星」のインタビューで、百恵ちゃんが周りのスタッフに
    「これからの百恵はこういう曲を歌っていけばいいよ」って言われたって言う風に記事が載ってましたけど・・・


川  ああ、そうですか!

大  とてもこの・・けだるさとかっていうのはこの・・17才でこれだけ歌えるっていうのはすごいですね。

川  そうですね・・なんかあの・・洋楽っぽいメロディーと、演歌みたいなメロディーと
    カントリーみたいなメロディーがこう・・うまくこう・・入ってくるような、アレンジもそういう感じ、
    生ギターはちょっとウエスタンっぽい感じで弾いてたり、ストリングスなんかは割合歌謡曲っぽかったり
    するんですけれど・・

大  楽器のアレンジひとつひとつ、いろんな要素を持って集まっってるみたいな・・

川  そうですね・・タイトルも「オレンジ・ブロッサム・ブルース」なんていうのは、
    多分宇崎さんはカントリーだとか、そういう意識の中から・・
    昔そのこういう感じのタイトルってカントリーの曲に多かったんですよね。

大  ああ、そうですか・・そっからちょっと宇崎さん持ってきたのかな?

川  そうかもしれないですね、タイトルは。で僕達もそのタイトルに刺激されて
    「じゃちょっとこういうアレンジでいってみようか」っていう事で。  
    でもなんかすっごいふわふわしたおもしろい世界出来てますよね。

大  これ、後期のリサイタル・・79年のリサイタルのライヴ盤でもちゃんと歌い直してますよね。
    かなり気に入ってたと思うんですけども。


川  そうかもしれないですね。

大  ファンの今回の投票でもかなり上位に上げられてる曲でありますけれども。
     


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川・・・川瀬泰雄さん  大・・・大和秀嗣