<1977〜「百恵白書」>

BG「夢先案内人」


大 76年を経まして77年に移って行く訳ですけど、「初恋草紙」シングルが出まして、
  この曲結構おもしろい作品でしたね


川 そうですね

大 その後「夢先案内人」、こちらの方「東京音楽祭」の世界大会で銅賞を受賞してますよね。

川 あ、そうでしたっけ?

大 ハハハ!

川 (笑)そういう賞関係とかそういうのちょっと弱くて・・あんまり覚えてないです

大 なんかこれは百恵ちゃんにとっては、賞としてはかなり嬉しかった賞だったらしいですね
  まぁ今はもう無くなってしまった音楽祭でしたけれどもね・・当時はかなり世界各国からいらしてて
  競い合っていた音楽祭ですもんね。
  この「夢先案内人」っていうタイトルもすごいなって思ったけれども・・

川 いいですねぇ・・このときに何かこのサウンドとかっていうのも、
  すごい苦労はしたんだけれどもすごい良い感じに上がったなって思ってるんですよね。
  それでたぶんこの曲のイメージがすごい残ってて「乙女座 宮」の時も、こんなサウンドに
  しようかなって・・。そういう記憶はありますね。

大 じゃあ「乙女座 宮」はここからちょっと引き継がれてるっていうか・・

川 まあ引き継いだかどうか・・っていうか「あの時のサウンドいいよね〜」みたいな
  あれをちょっともう1回違う形でやってみようかって「乙女座 宮」の時にやったような気がしますね。

大 なるほど・・この詞ってわりと「さっ」て読むとあんまり感じないんですけど、よく読んでみると・・

川 色っぽいですよね

大 色っぽいですね〜、ねぇ〜。

川 あの・・最近CMとかで別の人が歌ってるのが使われてるじゃないですか・・メロディが何箇所か
  違うんですよね。すっごい気になるんですよ。

大 ああそうですか・・

川 ♪あなたは時々 振り向き Wink and・・どこだっけな ・・なんかね

大 どっか違う!

川 違うんですよ

大 ハハハ!それは気になりますよねー

川 そこ来る度に「ここ、違うよ〜」って

大 それだけ思い入れを・・川瀬さん百恵ちゃんの作品にそれだけ思い入れを持って頂いてるそうです(笑)





















 

                          


大  さてこの夢先案内人の時に、それまでのアルバムとは違ったトータル・アルバム、  
   これは百恵ちゃんの当時のラジオでのお話なんかによると、トータル・アルバムを作りたいって
   百恵さんの方からスタッフにお願いしたっていうお話がありましたけれども


川  まぁそういう意識は持ってたかもしれないですけれどもまずその作り手としては、
   もう僕のトータル・アルバムっていうイメージがものすごい強い思いだったんです。
   それはさっき言った様にビートルズがやっぱり「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」
   とかああいうのがあって、シングルとは全く別のアルバムとして成立するね、
   そういう物作っていかなきゃいけないって。
   で、酒井さんなんかはもうシングルに力を入れてましたからあんまりこう・・アルバムに関しては
   あれだったんですね。
   それで僕「とにかくトータルなアルバム作らせてくれ」って言って、酒井さんもわかりましたって事で。
   じゃあ阿木さんに3ヶ日位かな百恵に付いて行ってくれって話になって、
   百恵のツアーかなんかに阿木さんにずっと同行してもらって、
   そこで2人でいろんな話してもらって作った記憶があるんですけれどもね

大  それが「百恵白書」

川  「百恵白書」ですね〜

大  この初めてのトータルアルバムで「百恵白書」という、
   まぁプライウェートアルバムっぽいアルバムですけれども。
   これはファンにとってはね、どんなに嬉しかったかわかりません、川瀬さん。


川  あ〜

大  これだけ百恵ちゃん自身の事を歌ってくれているアルバム

川  そうですよね、これもう全くそういう意味では何て言うんだろう・・
   百恵本人の言葉みたいな感じありますよね。

大  何か阿木さんもどこかておっしゃってましたけれども、百恵ちゃんの言葉を少しね取り入れて詞を作った
   みたいな事もおっしゃってましたね。
   でこの帯にですね、
   「このアルバムはわたしの分身、この中に18歳のそう制服をぬいだわたしのすべてが入っています
   山口百恵」とこれ直筆のが印刷されているんですけど、 本当にもう「I CAME FROM横須賀」
   只今かかっておりますけれども、横須賀からあなたに会いに来た、
   それから百恵ちゃんの一日を歌ったような 「鏡の中のある日」とかね、ほんとにこれだけ百恵の事をね・・。
   当時あんまりアイドル歌手でこういったアルバムを出してた人は居ないはずなんです

川  ええ

大  まして自分のプライウェートを歌う様な作品というのはね。ほんとに名曲が生まれたアルバムでしたね。

川  そうですね、これもう僕ホントに僕の中で非常に印象的なアルバムだし、大事なアルバムですね。

大  ありがとうございます。さてそのアルバムの中から1曲お届けしたいんですけれども、
   こちらは全部先程川瀬さんのお話にありましたが、
   阿木耀子さんが全部作詞をしております。宇崎竜童さんが曲をつけました「ミス・ディオール」。

M  ミス・ディオール


<ベストアルバム投票1位「百恵白書」>
アルバムを1枚聴きながら、川瀬さんにお話頂きました。


大 「あなたが選ぶ山口百恵オリジナル・ベストアルバム」発表!
  さてお待たせ致しました、「ベストアルバム賞」の発表でございます。
  こちらのアルバム投票もみなさんいろんなご意見等を書いて頂きました。
  栄光の第1位はこのアルバムでした!

M I CAME FROM横須賀

大 77年5月にトータル・アルバムとして初めて制作されました「百恵白書」が第1位。
  まずはそのA面1曲目の「I CAME FROM横須賀」お聴き下さい。



大 さてこの「百恵白書」が堂々の第1位となりました。
  川瀬さん、「百恵白書」に輝きました・・


川 まぁ・・いい感じですね

大 みなさん、「いい感じ」だそうですよ!
  さてこの「百恵白書」につきまして、軽くですけれどもせっかくですからなるべく曲をおかけして、
  お話をしてみたいと思うのですけれども。
  A面1曲目、レコードに針を落としてこのピアノのイントロ、すっごい格好よかったですよね。

川 そうですね・・ちょっとソウルっぽい感じが・・

大 ああ、ありますね。京浜急行でしたよね・・横須賀から会いに来たとこう・・列車が走って、
  乗ってる感じがまたいいですよね、揺れれている感じが。


川 ちゃんと一駅一駅、こう・・ね。

大 はい〜これは画期的な曲でしたね、よくこれはコンサートのオープニングなんかでも歌ってましたし、
  ラスト・コンサートでも取り上げていましたね。
  「横須賀ストーリー」に続いて「横須賀」がテーマになった曲という事で百恵ちゃんもかなり思い入れがあったんじゃ
  ないでしょうか。


川 もう1曲ありましたね「横須賀サンセット・サンライズ」とかね。

大 「横須賀3部作」とファンの間では言われておりますが。

川 ああ、そうですか(笑)。

大 さてA面2曲目格好いいピアノのイントロの後はこんな曲が収録されておりました。


M 鏡の中のある日

大 これ百恵ちゃんの一日を朝起きた時から夜寝るまで歌った曲ですけれども、これもおもしろかったな〜

川 あの・・レコーディングまでって何百回聴いたかわかんないけれど、
  大体1回僕達その仕事が終わっちゃうと、意外と聴かないんですよね自分たちが作った物って。
  よっぽど何かあって聴かなきゃいけないとか、書かなきゃいけないとかって時またひっぱり出して聴いたりするんですけれど。
  このアルバムはレコーディング終わってからも何回も聴いてたはずなんですけれども、今ここの最初のバラードから
  ポッと移る時のイントロ聴いて、「あっすごい新鮮」な感じして「これ結構カッコいいな!」って思って(笑)


大 いやぁ〜格好いいですよこれ


川 あの、オクターブユニゾンでギター弾いてるんですけど「あそこ・・これこんな格好良かったんだっけ!」って今。

大 すっごいいいアレンジですよ!夏には必ず僕の編集BEST版には入ります。

川 これはねどっちかというと、詞とかメロディーの方がすごい記憶に残ってたんだけど、今改めてこうやって聴いて
  アレンジがすごいよかったんだな〜と思って。

大 このアレンジは船山基紀さんです。
  こういったプライヴェートアルバムっぽい作品ってやっぱりファンにとってはとても嬉しいんですよね。
  自分の事を歌ってくれているっていうのはね・・。
  百恵ちゃんはシングルの方では割といろんなこう・・ファンが「ついていかなくっちゃ」っていう曲もあったんで
  こういう作品を歌ってくれるとホッとする訳ですよね。
  両方があって何かこう・・


川 もう・・シングルの時は戦争だったですもん・・もう・・。
  ホントにね山口百恵って注目されてたんですよ、次どんなの出して来るかって。
  その期待に答えさせながら、さっき言った様な裏切りをテーマにしてたから。
  そうすると「ええ!こんなので来るの?」って毎回それがホントにあっちこっちと・・何て言うかな・・ものすごい
  緊張感で作って行ったんで。
  だから、こういう「百恵白書」みたいな物って作っててホッとするっていう所あるんですよね・・。

大 そうですか・・そういった余裕みたいな物が、いい意味で表れている部分もあるかもしれないですね。 
  さて3曲目は自分の「性」を歌った曲であります「いた・せくすありす」。


M いた・せくすありす


大 こちらの方百恵ちゃんの女性としての歴史を歌っている曲だと思うのですけれども、
  この最後の方に「好きというより友達なの 兄貴の様に甘えられる18の今」
  と歌われていて、「ああ、やっぱり百恵ちゃんは恋をしているんだな」と大きく感動したのを覚えているんですが。

川 この辺は阿木さんと山口百恵との間で作り上げていったじゃないですか、そうすると僕達も「あっそうなのか・・
  こんな感じなのか・・」っていうのがあって、むしろサウンド作りとかそういう方に重点を置いてたっていうか。
  これもう2人の間である種完結してるんだなと思って、僕達が手直しするとかね何とかじゃないなというのがあって。

大 なるほど・・。


M 赤のシリーズ四人の少女に捧げる・約束


大 さて続いてA面4曲目に現れるのは「赤のシリーズ四人の少女に捧げる・約束」。
  百恵さんがこの次点で演じてきました「赤い迷路・疑惑・運命・衝撃」のヒロイン達に向けて歌った曲、
  これはめずらしいですね〜。

川 ええ。

大 後の百恵ちゃんの発言なんかを聴いていると、一番「赤い疑惑」の幸子を演じた時が一番こう・・思い入れが
  あったらしいんですよね。
  幸子のセリフの一行にすごい人生と言う物は大切なんだと教えられたとおっしゃってました。
  そういう事が歌詞に織り込まれていたりしてましてね・・。
  こういう歌ってファン嬉しいんだよね・・さっきから同じ事ばっかり言ってるけれど・・


川 組曲みたいになって来てますよね。

大 いろんなタイプでね・・そしてこの曲が終わるといきなりこんな素敵な曲が流れてきます。


M 間奏曲

大 A面ラストの曲「間奏曲」お届けしました。
  百恵ちゃんが舞台を前にしての緊張のひとときを歌った。


川 そうですね・・


大 これ後年のステージでいきなりオープニングで♪幕間〜 と舞台裏から歌って登場するという
  構成で使ってたみたいです。


川 あっ本当に、へぇ〜・・それは知らなかったです・・。

大 やっぱり自分の曲を大切にしてますよね、この頃の歌をまた後年に持ってきてステージで使っているというのは。

川 当然、前のナレーションとか録っている時とか間の問題とかあったんですけれども、
  これ今聴いて一番思い出したのは、♪幕間〜 の入る部分、最後の ♪一瞬〜って上がって行くそこの所、
  まぁレコーディング的な処理の仕方とか、そういうの・・たしかこれかなり難しかったんだよなっていうのを今
  思い出して。

大 ああそのタイミングがね。

川 ええ。♪幕間〜 と後ろのオーケストラと「バシッ」と合わないといけないじゃないですか。
  それでね苦労したような気がします。

大 ああそうですか、へぇ〜・・でもいろんな事をやっぱり・・

川 皆さんがね受ける印象とは全然違う所で、へんな所でね・・

大 制作の仕事と言う部分で思い出す事がたくさんあります?

川 そうですね、思い出しましたね。



  

                                  

大 さて今度はB面の幕開けという事になります、続いてB面1曲目「二十歳前夜」。


M 二十歳前夜

大 ちょっとカントリーというか・・

川 そうですね、カントリーですね。あのスティール・ギター、石田新太郎さんていう第一人者の人にお願いして
  それで弾いてもらったんですよ。

大 へぇ〜、そうなんですか・・
  先程からお話を伺っていると、川瀬さんの人脈だから出来るというのが
  結構大きかったり・・あると思うんですけど。


川 いやそんな事ないですけど・・

大 この曲も「恋をしているんだ」っていうのが匂い立ってたまないんですよね。
  続きまして百恵ちゃんがよく行くお菓子屋さんのお店を歌った曲です、「お菓子職人」。


M お菓子職人

大 麹町、角を曲がって2件目の店のお菓子屋さんを歌った曲ですけれども。
  これイントロのずーっとベースがCでその上に乗っかって来る・・ポール・マッカートニーの曲で
  似たようなのを聴いた気がするんですけど。

川 これはね、アレンジャーの船山さんが僕がビートルズ・マニアっていうのを知ってて、
  ポール・マッカートニーみたいのを持っていけば大丈夫だろうと・・まんまと乗せられましたね(笑)。

大 そうですか・・

川 ただ、最初聴いた時もっと似てたんですよ。もっと似てたからむしろ押さえ気味にしたっていうの
  ありますよね。

大 百恵ちゃんのホッとするひとときを表した曲で、わりとふんわりしたこの雰囲気・・・

川 僕好きですよこの曲。

大 いいですよね。
  さてこの曲に続きましてB面3曲目はこんなかわいい曲です、「ボーイッシュ・ベイビー」


M ボーイッシュ・ベイビー

大 髪を短く切ったらボーイッシュ・ベイビーと彼は呼ぶのという曲ですけれども、
  これは川瀬さんの、もうお好きな路線ですね。


川 そうですね、段々見破られてきているなぁ・・(笑)。

大 (笑)、これ最後のエンディングの方で何ていうんですか、ジェットがかかったような音質で・・

川 はい、シュワーっと・・

大 ああいうの、これも凝ったアルバムでしたよね。

川 ああいうのはもう目一杯自分の趣味を入れさせてもらってますんで・・

大 曲間の音つなぎとか、そういうのは全部川瀬さんが大体お考えになるんですか?

川 そうですね・・まぁ僕とアレンジャー、その時その時に船山さんとどうやろうか・・萩田さんとどうやろうか・・
  まぁ最初にこういう感じにするからってアレンジしてもらう事もよくありましたけれども。

大 ああ、なるほど・・さてこの後は先程前半におかけしました「ミス・ディオール」、5曲目に
  ベスト・アルバム曲ベスト1に輝きました「歌い継がれてゆく歌のように」が続きます。
  そしてラストを飾ったのが「スター誕生again」という曲なんですけれども、
  これは百恵ちゃんのラストコンサートでも取り上げて歌っておりましたけれども、「青春」をテーマに
  歌われた曲で、百恵さんは引退の頃この曲にとても感銘を受けるとおっしゃっておりましたけれども、
  私はとても今最近この曲にすごい感銘を受けまして、すごい身につまされるというか・・今回のベスト・
  アルバム曲投票にこの曲も入れたんですけれども。
  「スター誕生again」というタイトルは「スター誕生」の番組に掛けられた・・

川 当然そうですね。

大 それではB面ラスト「スター誕生again」。

 
M 「スター誕生」again

大 という訳でベスト・アルバム賞は77年5月に発売されました「百恵白書」に決定いたしました。
  ホンとに素敵なアルバムが多い中、皆さん選ぶのに苦しんだと思いますけれども。
  香川県香川町の○○さん、37才の女性の方です。選んだ理由「等身大の百恵さんを感じる事の
  出来るアルバムだと思うから」・・なるほど。
  帯広にお住まいの○○さん、「花ざかり、COSMOS・・どれにしようか悩んだ挙句、1曲1曲の存在感
  とアルバムのトータル感で百恵白書に落ち着きました。18才の等身大の百恵さんの息づかいが
  聴こえてくる様な名曲のたくさん入ったアルバムです。」・・なるほど・・という皆さんね苦しみながら
  選んでいただいた結果「百恵白書」に決定致しました。

 
本当にありがとうございました。


<「山口百恵新聞」での「百恵白書」解説>
 発売当時ファンクラブ会報誌「山口百恵新聞」での川瀬さんによる曲紹介。
  

 

 

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5<1977〜「百恵白書」>

M ♪・・ON AIRした曲です BG・・MC中にBGMで流した曲です
川・・・川瀬泰雄さん  大・・・大和秀嗣

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